高校生の頃、母親が隣のおばちゃんに美味しい天ぷらの作り方を教えてもらって、それから毎日天ぷらが夕食のテーブルに並ぶようになった。本当に毎日出ていたのが、やがて落ち着いてレギュラー化して、週1とか2くらいに落ち着いた。それでも多いだろうが、働いていた母親にとっては結構作るのが楽だったのかもしれない。後片付けは面倒くさいかもしれないけど。
一回ハマったらそればっかりを続けるのがうちの母親で、それはばっちり自分にも受け継がれている。ハマったら、そればっかりをバカの一つ覚えのように繰り返すけど、そこからいかに定番化に持っていけるかが難しい。
今、我が家でポップコーンが爆発的に流行っている。コンロで火にかけてシャカシャカ振りながらとうもろこしを爆発させて作るタイプのポップコーンだ。今年いきなり流行った。スーパーでお菓子コーナをうろちょろしていたら、棚に重ねて吊るされているポップコーンを見つけた。こいつと最後に対峙したのは幼稚園の頃。おばあちゃんにお願いして2、3回作ってもらったことがある。でも、パンパンととうもろこしが跳ねる音が怖かったし、できた時の味はあんまり美味しく無かった。だから、それ以来、何度も目にはしたことはあったが、手にすることは無かった。大人になると、そこに「幼稚園の頃におばあちゃんと一緒に作った」という思いでが加わることによって、余計に手に取ることができなくなった。今回、たまたま全然センチメンタルになることがない気分だったのか、今回手に取ることによって、ポップコーン修行の日々が始まった。
最初は、やっぱり大人になってもパンパンが怖くて、火にかけるのは妻に任せていた。遠くから眺めて少しずつ体にパンパンに慣らしていって、3回目くらいから持たせてもらえるようになった。「持たせてもらえるようになった」というのは、パンパンの恐怖が妻にとっては知ったことじゃないんだけど、妻からしてみたら、そもそも不器用で絶対に焦がすか、パンパン不足でそこにはじけられなかったとうもろこしがたくさんあったりとか、下手したら上面に貼ってあるビニール燃やすんじゃないかという不信感もあったので、なかなか任せてもらえなかった。パンパンも怖いし、妻も怖いので絶対に失敗できないチャレンジとなった。多分、普通の人の倍くらいの距離で火にかけた。限りなく弱い火でじわじわと炙る感じで、拷問だったらとても嫌になるであろう熱量でとうもろこしをいたぶった。この距離なら焦がす心配もなく、かついきなりのパンパンもないだろうという考えだ。ものすごく時間がかかるけど、料理の8割はじっくり火にかけたら大体大丈夫の理論で、焦げることなく上手にできた。パンパンもあの時のおばあちゃんが感じていたであろう、とうもろこしがはじけた時の衝撃を自分でも感じながら泣くことなく、手を離すことなく最後まで持っていられた。
こんな感じで繰り返しているので、ちょっとずつうまくなってきた。味も自分の記憶の中のものより格段に美味しくなっているで、食べるのをやめられない。毎日ポップコーン食べていることに健康上の不安も感じながら、なんとかレギュラー入りして、ペースを落ち着かせたい。