もう、すぐ忘れる。覚えてられない。同じ失敗を何回も繰り返してします。今日もあった。晩御飯を外で食べようと街に出た。デパートのレストラン街をぶらぶらして店を探した。焼き立てパンが食べ放題の店は一体メインはパンなのか、それともそれと一緒に出るステーキやパスタとかなのかわからないからパス、次は寿司屋。心がいいなぁ方向に動いたけど、人がいっぱいだから待ちになる。ちょっと待つ気分じゃないからこれもパス。中華もあった。美味そうだけど、街中華で小鉢的な物でたくさんの種類を食べたい派だから、麻婆豆腐セットとか油淋鶏セットとか、組み合わせが決まってるのはあんまり好きじゃないからパス。
もう候補がないぞ、の局面にきたときに目に入ってきたのが焼き肉だった。多少値ははるけど、もう他の店もないし、焼肉屋が空いいてすぐ入れるから、入った。ついさっきまでは食べたいものをあれやこれやと選んでいたのに、最後は消去法で決めた。だったら、別にさっきパスした寿司でも中華屋でもよかったと思う。パン食べ放題だけはコンセプトがよくわからんから、そこだけはない。
焼き肉のルール的なもので私が知っているのは、「まずはタンから焼く。そしてタンはタレではなくレモンで食べる」これくらいなので、あとは好きなものを食べる。カルビ、ハラミやら、ご飯、キムチ、タマゴスープなんかを頼んだ。タンを食べたらあとは好きに焼いていいので、ここからはフリー演技。カルビに手をつけたら、皿からカルビを駆逐するまでは網の上にはカルビだけ、とかもない。左にカルビ、中央にハラミ、右によくわからん肉といった感じで混ぜまぜでやる。この「よくわからん肉」っていうのが、焼肉屋によってはありますよね。正しくはないと思うけど「クラマエ」って呼ばれる部位があるとして、説明に「クラの前にある肉」って書いてある。義務教育出てたら「そうでしょうね」っていう感想しか出てこないであろう名前からまず最初に連想される部位説明を見て、「『クラ』ってどこだよ」ってなって全くどこのどんな肉かわからない。「クラ」っていうくらいだから、クラを置く位置で、背中らへんかな。「俺なら、首から尻に向かっていくラインで、首から降って来て次、尻に向かってやや上がるところのちょうど凹んでいる所。ここが一番鞍の座りがいいであろうと思われる位置に鞍を置くな」と思い、だからここがクラマエだ!
そんな肉を2、3枚食べていると肉の脂で気分が悪くなる。ご飯とキムチで脂でやられて胸のあたりを浄化しつつ食べていくが、5枚ぐらいを過ぎたくらいで箸が止まる。頼んだ分はもったいないから残さず食べるが、「もう、焼き肉も無理だな。そんな歳になってしまったな。次は焼き肉食べるのはやめよう」そう思いながら店を出る。だけど、つい忘れてまた焼き肉を食べにいってしまう。この記憶が全く脳みそに残らない。記憶が残らないのか、脳としても焼き肉を食べてもらいたいから、都合の悪い記憶を一旦無かったことにして、俺を焼肉屋に誘うのか。人間は脳に支配されている。