外にいる犬

野良犬を見なくなった。川崎に越してきて20年近く経つけど、1回も野良犬を見ていない。その20年の間に広島の実家に帰ったときに、それも10年くらい前になるが、3匹の親子連れっぽい野良犬を見たのが最後だった。野良犬頻出ポイントがあって、私が実家にいた頃は「あそこには野良犬がいるから行ったらいけん」と言われていたところだった。そこに用事があって行ったときに、丘の上に2匹の犬がいた。その時点でも「都会には野良犬がいない」と思っていたので、「ここにはまだ残っていたんだ」と、自分の国では滅びた昔ながらの風習にまさか海外で出会うなんて、みたいな状態だった。

恐怖と少しの感動でその場に立ちすくんでいると、2匹の犬がこちらに近づいてきた。が、ここまでこない。よく見ると柵がある。今にも飛びかかりそうな勢いで吠え立てているが、柵があるからこない。少しして、その犬の鳴き声がうるさかったのか、どこからともなく、髭面のおっさんが犬の後ろに立った。おっさんには吠えない。犬がいて、柵があって、人がいる。これは飼い犬ではないだろうか。そのときは全く考えなかったけど、そこに柵があるのっておかしいんだよな。そのおっさんも住んでる感じが出てたようの記憶があるけど、そこのどこに住むのよさ。田舎は土地の所有に関する規則については、非常に緩やかなのかもしれない。

犬は噛んだり吠えたり、危ないし怖いでしょう。狂犬病みたいな病気もあるし。だから、日本から野良犬っていうのはいなくなってしまったのかもしれない。外で犬と一緒に暮らすにはさっきのおっさんみたいに柵で囲んで犬の自由を多少なりとも制限しないとダメなのかもしれない。日本ではそうかもしれないけど、海外行ったときはもうバリバリの野良犬だらけのワンワンストリートがありましたよ。そこも犬と一緒にいる人は俺の地元で見たもう、最多登場のあのおっさんと同じ感じだったから、そのセットは全国共通なのかもしれない。なんかその、海外で見た野良犬のバリエーションには驚いた。野良犬っていったら、「犬の絵を描いてくださ〜い」って保母さんに言われたら、8割の子供が描くであろう伝統的犬のフォルムが思い浮かぶと思う。でも、そこで見たのは日本のペットショップではケースに並んで、多分俺の月労働力の対価よりも高い値段で売られている、名ありの犬と同じ犬が野良犬として鎮座している。そこで初めてゴールデンレトリーバかラブラドールレトリーバーのどっちか毛がふさふさで耳が垂れてる方を見たときはびびった。血をとれば純血の何かしらレトリーバーとは認められないんだろうけど、外見はそれと同じ。でも絶対に飼い犬じゃない。あのビーチサンダルを大量に載せた荷車の横で濡れた道路に寝そべっている犬が飼い犬のはずがない。

と、書いておきながらも、そのおっさんと一緒にいるってことは野良ではないのか。そのおっさんのビーサンとかにちょっかいを出して、なんの意味があるのか、タバコを持った手を振り上げたおっさんに追いかけられたりしたら野良かもしれないけど。

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