お尻の左側から太ももの裏に欠けてジンジンするような痛みがあった。その後、つま先の方に向かって痛みではなく痺れがあった。座ったら痛みと痺れがやってくる。寝ててもくる。立ってたら来ないけど疲れる。そんな感じだったので病院に行くことにした。
病院に行く前に、ある程度病名に目星をつけておきたいので、「尻 痛み」、「太もも 裏 痛み」等のワードで検索してみると、数えてはいないけど、9割方「坐骨神経痛」という結果が出てくる。「坐骨神経痛」はその名の通り、どこにあるかわからない坐骨の神経に痛みが出る病気・怪我なのだろう。坐骨神経痛自体は病名ではなく、痛みに対してついた名前らしい。原因は「椎間板ヘルニア」らしい。数々の友人・知人を病院送りにしてきた、名前だけは知っている「椎間板ヘルニア」と聞いて少しビビる。高校・大学生の頃、「明日から入院するんだ」と友。「どうしたの、どこか悪いの」と聞くと、「ヘルニアで手術する」と返ってくるのは、かなりパターン化されたやり取りだった。
でも、常時痛いし痺れるしで流石に見て見ぬふりはできないので、病院に行った。午前9時からの診察で、朝8時45分に行ったのに、コロナ禍とは思えないくらいビッシリと待合室の椅子が埋まっている。病院の外にも溢れる人。整形外科にかかる人なのに、立って待つのはたいそう辛かろう、と同情しつつ受付をした。私は立ってる方が楽なので、待つのは平気。大体30分くらい待ったときに、看護師さんが問診票を持って私のところにきた。後日、この日のことを会社の後輩に話したときに、「ジンジン」という表現を手に入れた形なので、この時は自分の痛みがうまく表現できなかった。「あぉ、左のお尻から太ももにかけて痛いんです。こう・・・痛いんです」としか言えなかった。あらかじめ「坐骨神経痛」という目星をつけておいたので、それを伝えてもよかったのかもしれないけど、言ったら即、返す刀で「それはこっちで決めますので」なんて言われるに決まってるので、言わなかった。少し頭が働く人なら「以前、坐骨神経痛という診断をされまして(ウソ)、それと似たような感じなんです」なんていう伝え方もあったかもしれない。いまいち要領を得ない痛みの説明をする男に、看護師さんは諦めたんだろう「とりあえず、レントゲン撮って見ましょう」と私から症状を聞き出すのを諦めた。果たしてこれが正解なのかわからないポーズでレントゲンを3枚ほど撮ってもらった。指示されたのより、若干腰が外に向いてたような気がするし、ズボンも言われたほど下げてなかったと思う。結果、問題はなかったからあれでよかったのか。
レントゲン撮るまでは想像より早く終わった。でも、ここから診察に行くまでが長かった。この病院、先生が3人いる。院長、副院長、曜日ごとにどこかの大学病院から来てる先生。受付で先生の指名ができる。ここで院長を指名すると下手したら午前中には診てもらえな。だから、答えは「指名はありません」が正解で、副院長か派遣先生のどちらか早い方が診てくれる。それでもレントゲン撮ってから1時間待合室で待った。立って待った。同じく立って待ってた女の患者さんにだけ、看護師さんが椅子を持ってきた。まぁ、こっちは座ると痛いから、立ってることになんの問題はないけど。少し心が泣いた。途中、この女の人がレントゲン室に入っていった。このとき、この椅子に座るのはいいのだろうか。5分もしないうちにレントゲン持ってここに戻ってくるし、この椅子自体がこの人用に用意された感があるから。まぁ、座ると痛いから立って待ったけど。少し、心の中の俺が「疲れた。座りたい」って駄々をこねたけどそれを見ないふりして待った。
レントゲン撮ってから1時間くらいしてやっと診察室に呼ばれた。先生がレントゲン写真を見ながら説明してくれる。ここがなに骨だとか、ここはこう動く、とか。色々説明してくれたけど、ヘルニアではないということと、なんで痛くなっているのかははっきりしないという結論だった。多分、座ってる時とかにお尻肉が坐骨神経を圧迫して痛みが出ているというおが本命らしい。それで終わりかと思ったら、ベッドに寝るように指示された。まず、仰向けに寝て、足を曲げられたり、伸ばされたり、脛あたりをコンって叩かれて脛から先がピコンってなったりした。次に、うつ伏せ。ズボンをずらして、先生のどこが痛いかあてクイズ。先生の手が痛みドンピシャの所を当てた。「そこです」の正解を聞いた先生が「じゃあ、注射します」との掛け声で左尻に注射をプスっと刺した。ベッドの上での診察も終わり、もう一度先生と対面して、薬の説明を受けて診察終了。
診察室を出て受付で会計をする頃には、痛みも痺れも全部消えていた。病院きてよかったと思いつつ、なんの注射を打ったのか先生から一切説明がなかったなと注射の絶対的な効果と、中身の不思議を抱えたまま薬局に行ってから家に帰った。もう3週間くらい経つけど、今のところ痛みの再発はない。