大人になって砂に出会う時

以前、通勤電車の中でスーツのズボンに砂がこびりついている男性サラリーマンを見かけた。数回見かけた。見かける度、必ずズボンの膝部分に砂がついていた。泥が乾いてカピカピになったやつがついていた。砂がついていたことにも驚いた。それに加えてズボンを洗おうとしない、砂に無関心になっている心が見ていて怖かった。

田舎から都会(川崎)に出てきて、日常生活で砂と出会うことが少なくなった。砂率は大きく低下している。大人だから、外で走り回って遊ぶこともなくなった。運動もしていない。服に砂がつくことなんて、遠い昔の話になった。自分の状況に照らし合わせて考える。ズボンに砂が空く状況というのはどういう時だろう。確実に片膝を地面につけている。馬車でお姫様を迎えに行ったのか。お姫様が馬車に乗りこむ前に、実は騎士であるサラリーマンは片膝ついて待機していたのだろうか。あ、もしかしたら何か絶対に払えない思い出の砂なのかもしれない。高校3年の時に出場した夏の甲子園、ショートを守っていた自分のエラーで試合に負けてしまった。その時の辛さを忘れないために、膝についた土を、必ずズボンにつけているのかもしれない。

その本当の理由を知る前に、彼との別れがいつの間にか訪れていた。もう、何ヶ月も彼と会っていない。もしくは、梅雨や台風の季節を経て砂が落ちたので、彼と気づかないだけかもしれない。

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