ほっかぶりで泥棒ヒゲをたくわえて、唐草模様の風呂敷を肩に担いでいる人を見かけたら、おそらく「この人は泥棒に違いない」と予想するだろう。見た目だけでどんな人間か勝手に決めつけるのは良くない。偶然にも、これほどあからさまな場合には、逆の逆をついて実は泥棒で正解なので問題ない。しかし、普通はあまりいいことではない。
決めつける、つまりどんな人か「先入観」を持ってしまうと、自然とその線に沿って人と接してしまう。人の話を聞かなさそうな人だと、いくらその人が聞いていても、聞いていないような気がして「話聞いてますか」と聞いていない前提で話して相手を怒らせる。広島で「C」のマークがついた野球帽をかぶってる少年を見たらカープファンだと決めつけてしまう。よく見たら白地に赤い「C」のマークで中央大学野球部のファンであることに気づかずに嫌な思いをさせてしまう。そうやって先入観を持って人に接するとあまりいいことはない。
毎日パソコンの前に座って仕事をしていると肩がこる、腰がこる、目が疲れる。体の疲れが頭痛を引き起こす。病院にも行くが、コリを解消するためにマッサージにも良く行く。職場で昨日マッサージに行ったらだいぶ楽になったという話をする。すると必ず「普通のマッサージ?」と聞き返される。マッサージにはどうも、多少のいやらしいイメージがついているようだ。私は季節ごとにテレビで放送している警察24時の影響ではないかとにらんでいる。毎回、違法マッサージ店の摘発の現場が放送されることで、そういうイメージがついているのではないだろうか。体の疲れ解消を目的にしているので、「健全」なマッサージに行っているので、毎回の否定が煩わしい。
先入観をは言葉の端々から伝わる。目からも伝わってくる。持つなとは言わない。人間誰しも先入観を持つ。私も当然持っている。ただ、なるべくそれを悟られないようにするべきだ。先の泥棒ヒゲを生やした男が10人いれば1人は、泥棒を捕まえる側の人間の可能性だってある。私が行ったのが「健全」なマッサージではない日もいつかやってくる、かもしれないのだから。