あえてインターネットで調べないこと

歯磨きをした時に、左上の奥歯に激痛が走った。
歯ブラシを当てた瞬間にだ。
舌で確認したら歯が欠けている。
痛みに耐えながら次の日に歯医者に行った。

歯医者は怖い。
歯の治療はなにを使って、どうゆう治療をしているのかが見えない。
だから、未知のことに対する恐怖が大きい。
また、見えないからこそ治療器具から出る音が恐怖心を否が応でも煽る。

歯を削る際に出る「キュィーン」という音を聞くと逃げ出したくなる人はたくさんいると思う。
私の場合は、あの音が聞こえる頃には、「もはや逃げられまい」と覚悟を決めている。
恐怖が最高潮に達し、「逃げるな今しかない」と考えるのは、治療器具を並べている時だ。
ステンレスのトレーに治療器具が置かれた時に出る金属音が聞こえる。
その時は次に起こる治療の痛さを経験から思い起こして、気が滅入る。

未知から発している恐怖に対抗する方法はある。
どのような治療器具がどのように使われているのかを知ることだ。
逐一歯医者や歯科衛生士の手を止めて説明を求めるわけにもいかない。
しかし、今は歯医者の手を煩わすことなく、インターネットでいくらでも調べられる。
名前から使用方法まで。もしかしたら、なぜ歯科治療時の音に人は恐怖するかもわかるかもしれない。

しかし、あえてインターネットでは調べない。
調べて納得することと、この歯医者の度に味わう恐怖心がなくなってしまうことを天秤にかけた。
今大人になって、子供の時から変わらず続いてることは少ない。
この歯医者でのドキドキは、その数少ない変わらなものを一つだ。
なくなってしまうのが勿体無い。

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