「粉モノ」という料理のジャンルがある。
小麦粉を原料とした、お好み焼きやたこ焼きなどがそうだ。その粉モノの雄といえば、お好み焼きだろう。さながら、粉モノ党の最大派閥とでも行ったところか。広島出身である私は、小さい時からお好み焼きに触れていたので、お好み焼きが好きだ。しかし、そんなお好み焼き好き私の神奈川での生活は不遇だ。お好み焼きは店で食べなければ美味しくないというのが私の考えだ。しかし、食べれる店が近所にない。そんな時にどうしても、食べてくなった時は、スーパーやコンビニで買うしかない。でも味や量に不満しかない。
私の家の近所には、お好み焼き屋が1軒しかない。この1軒というのが、非お好み焼き県から見たときに、多いのか少なのかはわからない。「人口密度に対するお好み焼き屋の割合」なんて調査結果があれば、それを参考により正確な評価が出せるのに、それがないのであくまで感覚として、少ない。なのにこの1軒しかなく貴重であるこのお店は、ほとんど居酒屋だ。豚やイカなのどの「具」を鉄板で焼いて、お酒を飲む人の方が多い。カウンター越しに店主と客が向かい合って、酒を飲む。このスタイルから生み出されるものは濃い内輪感だ。濃くて、もぐろうにも潜れない水のようだ。
近所にある唯一の店に(心理的に)入れない場合はどうするか。スーパーやコンビニで買う。でも、今まで満足するお好み焼きに出会ったことがない。総じて薄い。まず、味が薄い。この味の薄さは圧倒的なソースの少なさが原因だ。店だと付け放題なソースが弁当の場合はそれができない。毎回、家にあるオタフクソースを足して食べる。そして、圧倒的な不満が、量的の少なさだ。量が少ないのは厚みに起因する。肉やキャベツの量が少なく薄っぺらいお好み焼きになっている。味がダメならせめて腹だけでも満たして欲しいのだが。
お好み焼きに不遇さに比べて、安定しているのは、粉モノ党の第2派閥であるたこ焼きだろう。たこ焼きは味も安定しているし、腹も意外に満たせる。店や屋台で食べるたこ焼きも、スーパーやコンビニで買う冷凍食品のたこ焼きも味が変わらない。企業努力の賜物だろうか。腹の満たし具合も十分だ。大きさとは打って変わって、たこ焼きを食べた時の意外なまでの粉密度に驚くだろう。
お店で食べることもできないし、スーパーやコンビニで買っても満足できないとなったら、私は一体どこでお好み焼きを食べればいいのだろうか。そうこうしているうちに、安定のたこ焼きがその勢力を増し続けている。全部、私の中での話なので、加減次第でどうにでもなるのだけれど。